安保法案、今国会で成立「必要ない」60% 
 朝日新聞世論調査

                     朝日新聞 2015年05月19日  
 朝日新聞社は16、17の両日、全国世論調査(電話)を実施した。自衛隊による米軍への後方支援の範囲拡大などを含む安全保障法制の関連11法案について、いまの国会で成立させる必要があるかどうか尋ねたところ、「必要はない」60%が「必要がある」23%を引き離した。

 安保関連法案のうち、日本に大きな影響がない国際紛争などを巡る後方支援に、そのつど法律を作らなくても自衛隊を派遣できるようにする法案について、「反対」54%が「賛成」30%を上回った。日本の平和や安全に重要な影響を与える事態で、自衛隊が米軍を世界中で後方支援できるように変える法案についても、「反対」53%が「賛成」29%より多かった。

 集団的自衛権を使えるようにする法案に「反対」は43%で、「賛成」の33%を上回った。安倍晋三首相が安保関連法案について、日本が米国の戦争に巻き込まれることは「絶対にありえない」と説明したことについては、「納得できない」68%が「納得できる」19%を大きく上回った。内閣支持層でも「納得できない」50%が「納得できる」35%より多かった。

 一方、安保関連法案の国会承認が、自衛隊海外派遣などへの歯止めになると思うかどうかを聞いたところ、「歯止めになる」は48%で、「歯止めにならない」の32%より多かった。

 また、「」(ガイドライン)改定で、自衛隊が米軍に協力する範囲や内容が拡大し、日米同盟が強化されたことを「評価する」は45%で、「評価しない」32%を上回った。ガイドライン改定で、沖縄県の尖閣諸島を含む離島防衛で米軍が自衛隊に協力することを確認したことについても、「評価する」61%が「評価しない」20%を引き離した。

 安倍内閣の支持率は45%(4月18、19日の前回調査44%)、不支持率は32%(同35%)だった。

世論調査―質問と回答〈5月16、17日実施〉

(数字は%。小数点以下は四捨五入。質問文と回答は一部省略。◆は全員への質問。◇は枝分かれ質問で該当する回答者の中での比率。〈 〉内の数字は全体に対する比率。丸カッコ内の数字は、4月18、19日の調査結果)

  • 安保法案、今国会で成立「必要ない」60%

◆安倍内閣を支持しますか。支持しませんか。

 支持する45(44)

 支持しない32(35)

◇それはどうしてですか。(選択肢から一つ選ぶ=択一。左は「支持する」45%、右は「支持しない」32%の理由)

 首相が安倍さん16〈7〉 5〈2〉

 自民党中心の内閣22〈10〉 21〈7〉

 政策の面44〈20〉 63〈20〉

 なんとなく16〈7〉 8〈3〉

◇(「支持する」と答えた45%の人に)これからも安倍内閣への支持を続けると思いますか。安倍内閣への支持を続けるとは限らないと思いますか。

 これからも安倍内閣への支持を続ける45〈20〉

 安倍内閣への支持を続けるとは限らない49〈22〉

◇(「支持しない」と答えた32%の人に)これからも安倍内閣を支持しないと思いますか。安倍内閣を支持するかもしれないと思いますか。

 これからも安倍内閣を支持しない62〈20〉

 安倍内閣を支持するかもしれない31〈10〉

◆今、どの政党を支持していますか。政党名でお答えください。

 自民39(36)▽民主7(7)▽維新3(3)▽公明3(4)▽共産4(5)▽次世代0(0)▽社民0(1)▽生活0(0)▽元気0(0)▽改革0(0)▽その他の政党1(0)▽支持政党なし33(34)▽答えない・分からない10(10)

◆今の国会に提出された安全保障関連法案についてうかがいます。集団的自衛権を使えるようにする法案に賛成ですか。反対ですか。

 賛成 33反対 43

◆日本の平和や安全に重要な影響を与える事態が起きた場合に、自衛隊がアメリカ軍に後方支援できるのは日本周辺に限られています。こうした後方支援を、日本周辺に限らず世界中でできるように変える法案に、賛成ですか。反対ですか。

 賛成 29反対 53

◆日本の平和や安全に大きな影響がない国際紛争などの際、自衛隊を派遣することについてうかがいます。国際紛争に対処するため戦争をしている国の軍隊を支援するには、これまでは、そのつど法律を作る必要がありました。新しい法案では、そのつど法律を作らなくても、自衛隊を派遣できるようになります。この法案に、賛成ですか。反対ですか。

 賛成 30反対 54

◆安全保障関連法案では、集団的自衛権を使うときや、他の国の軍隊を後方支援するときなどは、国会の承認が必要です。このことが自衛隊の海外派遣などへの歯止めになると思いますか。歯止めにならないと思いますか。

 歯止めになる48

 歯止めにならない32

◆安全保障関連法案について、安倍首相は、日本がアメリカの戦争に巻き込まれることは「絶対にありえない」と説明しています。この説明に納得できますか。納得できませんか。

 納得できる19

 納得できない68

◆安倍政権は安全保障関連法案を、今開かれている国会で成立させる方針です。この法案を、今の国会で成立させる必要があると思いますか。今の国会で成立させる必要はないと思いますか。

 今の国会で成立させる必要がある23

 今の国会で成立させる必要はない60

◆日本政府とアメリカ政府は、防衛の役割分担をまとめたガイドラインを18年ぶりに改定しました。この改定で、自衛隊がアメリカ軍に協力する範囲や内容が拡大し、日米同盟が強化されました。このことを評価しますか。評価しませんか。

 評価する45

 評価しない32

◆今回のガイドライン改定で、沖縄県の尖閣諸島を含む離島の防衛について、中国の動きをふまえ、アメリカ軍が自衛隊に協力することを確認しました。このことを評価しますか。評価しませんか。

 評価する61

 評価しない20

◆原子力発電の問題についてうかがいます。原子力発電を今後、どうしたらよいと思いますか。(択一)

 ただちにゼロにする16

 近い将来ゼロにする56

 ゼロにはしない23

◆経済産業省は2030年の電力に占める原子力発電の割合を、20から22%の範囲にする案を出しました。20から22%という原子力発電の割合は、多すぎると思いますか。少なすぎると思いますか。それとも、ちょうどよいと思いますか。

 多すぎる35

 少なすぎる7

 ちょうどよい34

◆今停止している原子力発電所の運転を再開することに、賛成ですか。反対ですか。

 賛成 28反対 56

     ◇

 〈調査方法〉 16、17の両日、コンピューターで無作為に作成した番号に調査員が電話をかける「朝日RDD」方式で、全国の有権者を対象に調査した(福島県の一部を除く)。世帯用と判明した番号は4088件、有効回答は1988人。回答率49%。