安保法制11法案、自公が最終合意 14日に閣議決定会

     
      朝日新聞 2015年5月11日13時55分


 自民、公明両党は11日午後、新しい安全保障法制を構成する11法案の中身について正式に合意した。戦争中の他国軍を後方支援するため、いつでも自衛隊を海外に派遣できる「恒久法」と、計10本の現行法を改める改正一括法案からなる。約1年にわたった一連の集団的自衛権と安保法制に関する与党協議は事実上終わり、法案は14日に閣議決定される見通しだ。

 与党が合意したのは、恒久法「国際平和支援法案」のほか、周辺事態法改正案(重要影響事態法案に改変)や武力攻撃事態法改正案、国連平和維持活動(PKO)協力法改正案など計10本の改正一括法案。

 国際平和支援法案は、自衛隊の派遣の「歯止め」として、国会の事前承認を例外なく義務づけた。一方で、首相が承認を求めてから衆参両院で各7日以内、計14日以内に議決する努力規定が盛り込まれた。

 朝鮮半島有事の際、自衛隊が米軍を後方支援することを念頭に作られた「周辺事態法」は改正によって「重要影響事態法案」に衣替えする。「日本周辺」という事実上の地理的な考え方をなくし、世界中に自衛隊を派遣できるようにする。現在、米軍に限られている支援対象は米以外の国の軍隊にも広げる。

 また、集団的自衛権を使えるようにする武力攻撃事態法改正案では、「存立危機事態」という新しい考え方を設け、日本と密接な関係にある他国が武力攻撃され、「日本の存立が脅かされる明白な危険がある」事態を想定。「他に適当な手段がない場合」に、日本が直接、武力攻撃を受けていなくても武力行使できるようにする。

 今回の安保法制に関する与党協議は、安倍晋三首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)が昨年5月、集団的自衛権の行使を容認するよう求めた報告書を受けて、首相が集団的自衛権の行使容認を議論するよう指示して始まった。今年2月からは、昨年7月の閣議決定にそって、具体的にどう関連法案にするかを議論してきた。

 政府は今後、自民、公明両党の党内手続きを経て、14日の臨時閣議で閣議決定。15日にも国会に提出する方針だ。与党は今月下旬から国会で審議を始め、7月下旬に成立させる日程を描く。しかし、野党からは慎重な審議を求める声があがっており、政府・与党の思惑通りに審議が進むかどうかは見通せていない。