安全、安価なエネルギー
核融合炉は原発と比べ安全で、無尽蔵のエネルギー源となり得るが、コストに見合うだけの実現性があるかどうかが評価の分かれ目だ。
核融合は、原子核同士が衝突して結び付き、別の重い原子核になる反応だ。核融合炉では、重水素とトリチウムの原子核が衝突し、ヘリウムの原子核と強力な中性子が生まれる。この中性子を壁にぶつけ、発生する熱を取り出す。
だが、原子核同士は本来、プラスの電気を帯び離れ合うため、地球上では衝突しにくい。核融合炉では、物質をセ氏1億度以上に熱して原子核が超高速で運動するプラズマという状態を作り、反発力に打ち勝たせる。
ただ、このプラズマの維持、制御も困難を極める。プラズマは分散しやすく、容器に閉じ込めても内壁に触れれば急速に冷える。このため容器内では磁力などで宙に浮かせる必要がある。東京大の藤堂泰客員教授(プラズマ物理学)は、「短時間の制御は進展したが、長時間保てるようにするのが大きな課題だ」と解説する。
それでも、核融合炉が実現すればメリットは大きい。核融合炉で燃料に使われる重水素は海水1トン当たり約33グラム含まれ、トリチウムも鉱物や海水から入手できる。計算上、これらの混合燃料1グラムから、石油8トン分のエネルギーが得られる。地球温暖化の原因となる二酸化炭素も排出せず、原発で問題になる高レベル放射性廃棄物も発生しない。
筑波大の坂本瑞樹教授(核融合科学)は、「再生可能エネルギーを基幹エネルギーとするのは難しく、原発、火力発電の問題点を解決できるのが核融合発電だ」と期待する。
核融合の特徴は、原発などで使われる核分裂と比較することでも際立つ。
原発では、中性子をウランの原子核に衝突させて核分裂させ、この時、放出される熱エネルギーを利用する。核分裂時には新たな中性子も放出され、それがまた、近くの別の原子核に当たり、次の核分裂が起きる連鎖反応が続く。
これに対し、燃料となる原子核同士がぶつかることで起こる核融合は、1度きりの反応で、炉の暴走につながる連鎖反応が起きない。だが、すでに技術が確立している原発に対し、核融合炉は、プラズマ制御や多量の中性子線に耐えられる材料の開発など技術的課題が多い。新しい課題が見つかるたびに、研究費が膨らむことも悩みの種だ。
東北大の明日香寿川(じゅせん)教授(環境政策学)は、「核融合発電が実現すると言われる今世紀後半よりも前に、再生可能エネルギーが課題をクリアし、相対的に核融合発電の意義が低下している可能性がある」と指摘する。【荒木涼子】
安全、安価なエネルギー
核融合炉は原発と比べ安全で、無尽蔵のエネルギー源となり得るが、コストに見合うだけの実現性があるかどうかが評価の分かれ目だ。
核融合は、原子核同士が衝突して結び付き、別の重い原子核になる反応だ。核融合炉では、重水素とトリチウムの原子核が衝突し、ヘリウムの原子核と強力な中性子が生まれる。この中性子を壁にぶつけ、発生する熱を取り出す。
だが、原子核同士は本来、プラスの電気を帯び離れ合うため、地球上では衝突しにくい。核融合炉では、物質をセ氏1億度以上に熱して原子核が超高速で運動するプラズマという状態を作り、反発力に打ち勝たせる。
ただ、このプラズマの維持、制御も困難を極める。プラズマは分散しやすく、容器に閉じ込めても内壁に触れれば急速に冷える。このため容器内では磁力などで宙に浮かせる必要がある。東京大の藤堂泰客員教授(プラズマ物理学)は、「短時間の制御は進展したが、長時間保てるようにするのが大きな課題だ」と解説する。
それでも、核融合炉が実現すればメリットは大きい。核融合炉で燃料に使われる重水素は海水1トン当たり約33グラム含まれ、トリチウムも鉱物や海水から入手できる。計算上、これらの混合燃料1グラムから、石油8トン分のエネルギーが得られる。地球温暖化の原因となる二酸化炭素も排出せず、原発で問題になる高レベル放射性廃棄物も発生しない。
筑波大の坂本瑞樹教授(核融合科学)は、「再生可能エネルギーを基幹エネルギーとするのは難しく、原発、火力発電の問題点を解決できるのが核融合発電だ」と期待する。
核融合の特徴は、原発などで使われる核分裂と比較することでも際立つ。
原発では、中性子をウランの原子核に衝突させて核分裂させ、この時、放出される熱エネルギーを利用する。核分裂時には新たな中性子も放出され、それがまた、近くの別の原子核に当たり、次の核分裂が起きる連鎖反応が続く。
これに対し、燃料となる原子核同士がぶつかることで起こる核融合は、1度きりの反応で、炉の暴走につながる連鎖反応が起きない。だが、すでに技術が確立している原発に対し、核融合炉は、プラズマ制御や多量の中性子線に耐えられる材料の開発など技術的課題が多い。新しい課題が見つかるたびに、研究費が膨らむことも悩みの種だ。
東北大の明日香寿川(じゅせん)教授(環境政策学)は、「核融合発電が実現すると言われる今世紀後半よりも前に、再生可能エネルギーが課題をクリアし、相対的に核融合発電の意義が低下している可能性がある」と指摘する。【荒木涼子】
安全、安価なエネルギー
核融合炉は原発と比べ安全で、無尽蔵のエネルギー源となり得るが、コストに見合うだけの実現性があるかどうかが評価の分かれ目だ。
核融合は、原子核同士が衝突して結び付き、別の重い原子核になる反応だ。核融合炉では、重水素とトリチウムの原子核が衝突し、ヘリウムの原子核と強力な中性子が生まれる。この中性子を壁にぶつけ、発生する熱を取り出す。
だが、原子核同士は本来、プラスの電気を帯び離れ合うため、地球上では衝突しにくい。核融合炉では、物質をセ氏1億度以上に熱して原子核が超高速で運動するプラズマという状態を作り、反発力に打ち勝たせる。
ただ、このプラズマの維持、制御も困難を極める。プラズマは分散しやすく、容器に閉じ込めても内壁に触れれば急速に冷える。このため容器内では磁力などで宙に浮かせる必要がある。東京大の藤堂泰客員教授(プラズマ物理学)は、「短時間の制御は進展したが、長時間保てるようにするのが大きな課題だ」と解説する。
それでも、核融合炉が実現すればメリットは大きい。核融合炉で燃料に使われる重水素は海水1トン当たり約33グラム含まれ、トリチウムも鉱物や海水から入手できる。計算上、これらの混合燃料1グラムから、石油8トン分のエネルギーが得られる。地球温暖化の原因となる二酸化炭素も排出せず、原発で問題になる高レベル放射性廃棄物も発生しない。
筑波大の坂本瑞樹教授(核融合科学)は、「再生可能エネルギーを基幹エネルギーとするのは難しく、原発、火力発電の問題点を解決できるのが核融合発電だ」と期待する。
核融合の特徴は、原発などで使われる核分裂と比較することでも際立つ。
原発では、中性子をウランの原子核に衝突させて核分裂させ、この時、放出される熱エネルギーを利用する。核分裂時には新たな中性子も放出され、それがまた、近くの別の原子核に当たり、次の核分裂が起きる連鎖反応が続く。
これに対し、燃料となる原子核同士がぶつかることで起こる核融合は、1度きりの反応で、炉の暴走につながる連鎖反応が起きない。だが、すでに技術が確立している原発に対し、核融合炉は、プラズマ制御や多量の中性子線に耐えられる材料の開発など技術的課題が多い。新しい課題が見つかるたびに、研究費が膨らむことも悩みの種だ。
東北大の明日香寿川(じゅせん)教授(環境政策学)は、「核融合発電が実現すると言われる今世紀後半よりも前に、再生可能エネルギーが課題をクリアし、相対的に核融合発電の意義が低下している可能性がある」と指摘する。【荒木涼子】
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