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《社説》 安保理が戦闘休止決議 イスラエルは受け入れを
2023年11月17日 毎日新聞
罪なき市民の命が日々奪われている惨状を前に、国際社会がようやく一致した姿勢を示した。
先月からのイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘で国連安全保障理事会が初めて決議を採択し、「人道的休止」を呼びかけた。
イスラエルは拒否すると発表したが、決議順守は国連加盟国の義務である。戦闘をやめ、人道支援のための環境作りに協力しなければならない。
安保理は過去に4度、停戦などを求める決議案を採決したが、米国と露中が互いに拒否権を行使し採択に至らなかった。
国連総会は「人道的休戦」を求める決議を採択している。安保理決議は将来的な制裁につながる可能性もあり、効力はより強い。
今回はハマスに「子どもを含む人質の即時、無条件の解放」を要求する一方、双方に国際法を守るよう求めた。
採決では、日仏のほか議長国の中国など12カ国が賛成し、米英露の3カ国が棄権した。
ロシアは「休止ではなく停戦が必要だ」と主張し、米英は「ハマスを非難していない」として賛成しなかった。
決議はマルタが非常任理事国を代表して提案した。子どもたちの健康や教育への影響に焦点を当てることで、常任理事国が拒否権を行使できない状況を作った。
ガザでの犠牲は膨らみ続けている。パレスチナ側の死者は1万1000人を超え、そのうち約4500人が子どもだ。
イスラエル軍はハマス掃討を理由に病院や学校などにも攻撃を繰り返し、ガザ市最大のシファ病院に突入した。イスラエル側も1200人以上が死亡し、約240人が人質になっている。
イスラエルを支持する米国は先月、決議案に対し拒否権を使ったが、ガザの人道危機が深刻化していることを受け、棄権に転じた。
ロシアのウクライナ侵攻で国際社会の分断が深まり、安保理は機能不全に陥っていた。今回の歩み寄りを機に、本来の役割を果たさなければならない。
国際社会はイスラエルが決議を守るよう、外交圧力をさらに強める必要がある。これ以上の人命が失われないためにも対立を乗り越え、協調すべきだ。
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