《記事》 観光産業の春闘2023、賃金改善額が過去最高、
       サービス連合の結成以来の最高額で「まさに転換期」と評価

2023年8月2日 トラベルボイス(観光産業ニュース)

 サービス・ツーリズム産業労働組合連合会(サービス連合)はこのほど、2023年春季生活闘争(春闘)の結果を発表した。今回も、賃金改善では中期的な賃金目標「35歳年収550万円」の実現に向け、1.0%以上の実質的な賃金改善(ベースアップ)に取り組んだ。

 観光需要の回復基調と賃上げに対する社会的な機運を受けながらの交渉となった今年の春闘は、多くの加盟組合がベースアップを含む賃金改善で合意。賃金改善額は、集計可能な20組合の平均で9471円(改善率3.23%)となり、サービス連合結成以来の過去最高額となった。実質的な賃金改善額に限っても、集計可能な15組合の平均で7890円(同2.67%)となり、改善率は目標の1.0%を大きく上回った。(2023年6月19日現在、以下同)。

 コロナ前の2019年より大きな賃金改善があった背景には、コロナ禍で凍結された分の賃金改善をした加盟組合があったことも影響しているという。

 一時金も、過去3年の水準を上回り、2019年を上回った加盟組合もあった。ただし、国際航空貨物は情勢不安の影響を受けた荷動きの鈍化が影響し、前年の水準を下回る傾向となった。

 このほか、契約社員やパートタイマーの待遇改善についても、多くの加盟組合が 正規労働者との同様の考え方に基づいた待遇改善を要求。特に今春闘では、賃金改善で実質的な賃金改善を要求した組合も多く、要求した73組合のうち49組合が合意に至った。

【賃金改善額】

 ※対象<組合数2023年/2022年>:賃金改善額<改善率>/2022年実績<改善率>/2019年実績<改善率>

 全体<20/11>:9471円<3.23%>/8130円<2.83%>/6472円<2.28%>

 ホテル・レジャー<9/5>:1万73円<4.12%>/4733円<2.07%>/5097円<2.07%>

 ツーリズム・航空貨物<11/6>:9303円<3.04%>/9186円<3.01%>/7103円<2.36%>

【実質的な賃金改善額】

 全体<15/6>:7890円<2.67%>/5350円<1.79%>/4614円<1.62%>

 ホテル・レジャー<8/3>:5015円<1.99%>/2002円<0.84%>/1012円<0.48%>

 ツーリズム・航空貨物<7/3>:9045円<2.90%>/5944円<1.92%>/5561円<1.83%>

【年間一時金 平均支給カ月数】

 ※対象<組合数2023年/2022年>:平均月数2023年/2022年/増減/2019年

 全体<27/11>:3.13/3.51/-0.38/2.95(32組合)

 ホテル・レジャー<12/5>:2.34/1.36/+0.98/2.63(25組合)

 ツーリズム<10/‐>:3.94/-/-/4.06(4組合)

 国際航空貨物<5/6>:3.78/5.89/-2.11/4.07(3組合)

【夏期一時金 平均支給カ月数】

 全体<75/58>:1.53/1.15/+0.38/1.40(93組合)

 ホテル・レジャー<39/25>:1.17/0.86/+0.31/1.27(42組合)

 ツーリズム<28/25>:1.96/1.00/+0.96/1.45(45組合)

 国際航空貨物<8/8>:1.98/2.52/-0.54/1.92(6組合)

 ※いずれも、2023年6月19日現在