「共謀罪」与党17日採決の構え 民進、法相不信任案で対抗
    
             東京新聞 2017年5月16日

 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案について、与党は採決を視野に17日の衆院法務委員会の審議に臨む構えだ。廃案を求める民進党は、採決が強行された場合、金田勝年法相の不信任決議案を提出して対抗する方針。法務委理事会は、安倍晋三首相も出席する質疑を17日に行うことを鈴木淳司委員長(自民党)の職権で決定。与党は18日に衆院通過させたい考えで、攻防は緊迫の度合いを増している。

 法務委でのこれまでの審議時間は、参考人質疑を除き計26時間余り。採決に向けて与党は30時間程度の審議時間が必要だとみている。

(共同)

 「共謀罪」法案に反対する大規模集会で、声を上げる参加者=16日夕、東京・日比谷公園



共謀罪法案 5識者が意見 維新参考人も反対

  衆院法務委員会は十六日、犯罪の合意を処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案についての参考人質疑を行い、有識者五人が意見を述べた。反対の立場が三人、賛成の立場が二人だった。

 反対の立場では、自民、公明両党とともに修正案を提出した日本維新の会が推薦した成城大の指宿信(いぶすきまこと)教授(刑事訴訟法)が「過去のテロ事件をなぜ防げなかったのかの反省なしに、法案を用意するのは合理性を欠く」と述べた。海渡(かいど)雄一弁護士(民進党推薦)は「既遂処罰が基本の刑法体系を覆し、自由が制限される」と指摘。加藤健次弁護士(共産党推薦)も反対意見を述べた。

 暴力団対策に関わってきた木村圭二郎弁護士(自民党推薦)は賛成の立場から「要件は厳格で、組織犯罪とテロ対策に必要だ」と訴えた。賛成の立場は、ほかに中央大の椎橋(しいばし)隆幸名誉教授(公明党推薦、刑事訴訟法)。

(東京新聞)