『「共謀罪」の創設に反対する緊急統一署名』にぜひご協力をお願いします!!


 安倍政権が企てる現代の治安維持法、共謀罪を廃案に追い込もう!
  戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会 2017年4月3日

   
 ●署名用紙(PDFファイル)はこちらをクリックしてください。

   
※署名取扱い団体名には「観光労連シニアネット」と記入してください。

     ※署名用紙の送付先は「集約先」と書かれた箇所です。
     ※ご家族やお知り合いの署名もお願いします
    ※署名の送付は5月末日までとなっていますが、早めの送付をお願いします。


■戦争法と一体の共謀罪を四度目の廃案に
安倍首相は、世論の反対でこれまで三度も廃案に追い込まれた共謀罪法案を、「テロ等準備罪」と名前を変えて制定しようとしています。これは、「テロ対策」のためといえば、テロを嫌う世論は沈黙し、共謀罪を制定できると考えているからにほかなりません。

安倍政権は今国会の最重要法案と位置づけ、すでに3月21日、同法案の閣議決定をおこない、間もなく国会での審議入りに踏み込もうとしています。

今年は憲法施行70年です。安倍政権が2015年に強行成立させた戦争法は、この憲法の下、戦争で殺し殺されることがなかった日本のあり方から大きく転換させようとするものです。安倍政権が企てる「戦争のできる国づくり」には、国内における治安維持、すなわち言論や運動の抑圧が不可欠であり、共謀罪はまさに戦争法と一体のものです。

私たちは、この稀代の悪法を絶対に許さず、四度目の廃案に追い込みましょう。

■話し合うことが罪になる共謀罪
共謀罪は、法律に違反する行為を実際に行わなくとも、話し合い、「合意」すれば罪とする、思想・言論・意見交換を取り締まる法律です。これは、人は実際に法律に違反する行為を行わなければ処罰できないとする近代刑法の原則を踏みにじるものです。

また、「共謀」を犯罪として立証するために、電話やメール、SNSでのやりとりなどのような一般的な市民生活に対する日常的監視活動が、広範囲に進められる危険性があります。これは警察による人権侵害の横行を招くものであり、到底許されるものではありません。

2003年に国会に提出された共謀罪法案が三度廃案に追い込まれた最大の理由は、「話しあうことが罪になる」ものであり、すなわち戦後の日本の憲法、刑訴法体系を根本から否定するものであったからです。戦後、私たち市民は日本国憲法のもとで、思想・言論・表現の自由という空気を呼吸し、自由に考え、ものを言い、生きてきました。共謀罪は、市民に自由に呼吸をするなという宣言に等しいものです。それは、まさに戦前・戦中に民衆の声を圧殺した治安維持法を、現代に甦らせるものにほかなりません。

■普通の団体が「組織的犯罪集団」にされる
安倍政権は、今回の法案は過去に廃案になった共謀罪とは異なり、対象を「テロリズム集団」、「組織的犯罪集団」に限定したから、普通の団体に適用されることはないとしています。これは本当でしょうか。普通の団体が「テロリズム集団」、「組織的犯罪集団」とされたら、その団体は社会的に存続できなくなるでしょう。しかし、共謀罪法案には、この「テロリズム集団」、「組織的犯罪集団」の定義がなく、その認定は捜査機関の判断でできるようになっています。共謀罪は、普通の市民団体、労働組合、会社などが、一度法律に違反する行為を話し合い「合意」すれば「テロリズム集団」、「組織的犯罪集団」にされてしまい、その「合意」も捜査機関が判断するという、危険極まりない悪法です。

戦争に反対し、人権と民主主義を求めるすべての人びとは協力し、全国各地で集会、デモ、署名、街頭宣伝など多彩な行動を起こし、世論を変えるために奮闘しましょう。憲法の保障する思想・言論・表現の自由を刑罰で奪い、結社の自由を否定する共謀罪、戦争法と一体の共謀罪を、総がかりで廃案に追い込みましょう。

2017年4月3日
戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会

※以下の論文は共同代表である高橋 均氏が中央労福協の月刊誌ニュースレター(中央労福協のHP参照ください)に、労働組合と協同組合の歴史やエピソードを連載おられますが」、共謀罪の閣議決定を受けて、これまでの連載をいったん中断して、4月号と5月号に2回にわたって、「共謀罪」についての予定記事を。氏の許可を得て掲載するものです。

またぞろ共謀罪〜そのルーツと労働組合の苦難

小泉政権で三度廃案になった「共謀罪」が名前を変えてまた今国会に上程された。

二〇〇六年五月九日、「共謀罪」審議中の衆議院法務委員会で、筆者は連合を代表して参考人として意見を述べる機会があった。民主党推薦でもう一人、評論家の櫻井よしこ氏も「心の問題にまで踏み込んでいく危険性はないのか」「導入してしまった後でどこまで拡大するのか…過去の事例を見れば…この会場にいるだれも責任を持つことはできない」と、反対の意見を述べていた。

筆者は、「労働組合の活動が犯罪とされる危険性」と自首すれば罪が免除される「自首減免規定」に絞って見解を述べた。正当な組合活動が、過去に強要罪や威力業務妨害罪で訴追される事例が起きている例をあげながら、法律が成立してしまうと、捜査当局の恣意的な判断が優先されるおそれがあること。また、共謀罪における「自首減免規定」は、おのれの保身のための密告を奨励することにつながりかねない。告げ口・密告は日本では軽蔑した響きを伴った言葉として受け止められており、日本人の道徳観に反するものだと、法案に反対したのである。

そもそも、日本の刑法は犯罪を実行した者(既遂)を罰するのが大原則である。もちろん、実行しようとしたが遂げなかった(未遂)ことやきわめて重大な犯罪に限っては例外的に準備行為(予備)、例えば、殺人の目的で包丁を買った場合も処罰の対象になる。一方で刑法には「自首」すれば刑を減軽する規定がある。しかしこの自首は、「私」が罪を犯し、「私」が自首する場合だ。ところが、共謀罪は二人以上で犯罪を準備したことを罪に問う法律であり、そこでも自首すれば罪が免除されるとなると、他人に罪を押し付けて自分だけ罪を逃れようとする輩が現れないとも限らないし、赤の他人に濡れ衣を着せることも可能になる。

今回の法案はテロ対策としての治安維持を装っているが、明治時代から戦前までの日本は、「治安維持」を大義名分に労働運動や社会運動が抑圧されてきた歴史でもあった。共謀罪が国会審議にかけられている今、その抑圧の歴史をふり返ってみようと思う。労働運動が窒息させられないために。

 一九〇〇(明治33)年、わが国最初の協同組合法である「産業組合法」が誕生したが、同時に労働運動や小作争議を取り締まる「治安警察法」も制定された。「飴とムチ」の使い分けだ。明治憲法でも結社の自由は認められていたにもかかわらず、治安警察法は、日清戦争後の疲弊した農村の小作人や労働者の結社を事実上禁止する法律であった。「他人に対して暴行・脅迫・・・誘惑・煽動することを得ず(第17条)」、労働組合を結成して使用者と交渉すること、小作人たちが地主と交渉することは暴行・脅迫にあたり、ストライキを指導すれば誘惑・煽動したと解されたのであった。

 労働組合の強い反対で一九二六(大正15)年にその条文は削除されたが、同時に争議行為を封じ込める目的で「暴力行為等処罰に関する法律」が制定され、「団体若は多衆の威力を示し・・・面会を強請・強談・威迫の行為」は相変わらず禁止されたままで、警察が違反だと見做すと懲役刑が待っていたのである。この法律は現在も有効で、暴力団の強要・脅迫の取り締まりに重点が置かれているが、学生運動にも適用された事例がある。

いっぽう、大正デモクラシーで労働運動や社会運動が昂揚し、ロシア革命の影響で共産主義の普及を恐れた政府は、関東大震災に乗じて勅令四〇三号を発し「安寧秩序を紊乱する」と判断すれば、あらゆる団体や個人を摘発できるようにした。その集大成が大正14年の「治安維持法」だった。「国体を変革、私有財産を否認する結社」は、結社しただけでなく協議に加わったことも罪に問われることになった。一九二八(昭和3)年には最高刑が死刑となり、昭和16年には、「結社の組織を準備したる者」、つまり心の中で思っただけでも死刑の対象に広げられたのである。治安維持法の解釈は警察の恣意的な判断で拡大され、マスコミ・文化人、宗教家まで次々に検挙されたのであった。創価学会の創立者牧口常三郎は、そのために獄死している。

このように、「共謀罪」のルーツは、労働運動や社会運動を抑圧した治安警察法や治安維持法にある。いったん成立すると、無限定に広がる危険性は、戦前の歴史が物語っている。あやまちを繰り返してはならない。(高橋均)