残業上限、過半が月80時間以上 労使協定225社調査 過労死ライン

                 朝日新聞 2017124

法定労働時間を超えて社員を働かせるには、残業時間の上限を定める協定(36〈サブロク〉協定=キーワード)を労使で結ぶ必要がある。協定で定める上限を上回らなければ、どれだけ残業させても違法にならない。上限は、実際に社員に働かせた残業時間とは異なる。主要225社の労使が昨年10月時点で結んだ36協定について各地の労働局に情報公開請求し、各社の本社(主要子会社を含む)が結んだ最も長い協定時間を調べた。入手した資料を元に今年7月時点の協定時間を各社の本社(同)に尋ね、179社から回答を得た。 月間の協定時間が80時間以上だったのは昨年10月時点で157社。全体の7割を占めた。7月時点でも回答があった179社のうち125社にのぼった月間の協定時間が100時間以上だったのは、昨年10月時点で全体の3割にあたる68社。7月時点でも、回答があった179社のうち41社にのぼった。10月時点で全体の3割にあたる68社。7月時点でも、回答があった179社のうち41社にのぼった。昨年10月時点で最長の月間の協定時間はIHIと関西電力の200時間で、日本たばこ産業(JT)の165時間が続いた。IHIは7月時点で150時間に引き下げたが、この時点でも大成建設、大林組などと並んで最長。関電は、7月時点で80時間に引き下げた。政府が導入を目指す残業の上限規制では、年間の上限を720時間(月平均60時間)とする方針だ。年間の協定時間も調べたところ、昨年10月時点で720時間を超える協定を結んでいたのは、全体の約3分の1にあたる73社。7月時点でも、回答があった178社のうち49社にのぼった。昨年10月時点で最も長い年間の協定時間は関電の1800時間。7月時点では大成建設の1200時間で、大林組の1170時間が続く。関電は7月時点で960時間に引き下げた。 (贄川俊)

 ◆キーワード
 <36(サブロク)協定> 時間外労働や休日労働に関する労使協定。法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて社員を働かせるには、残業時間の上限を定める協定を労使で結び、労働基準監督署に届け出る必要がある。労働基準法36条に基づくので36協定と呼ばれる。月45時間、年360時間を上限とする基準があるが、特別条項をつければ、年に6カ月までは上限を何時間にも設定できる。長時間労働の歯止めになっていないとの批判が多い。