大飯1・2号機の廃炉を決定 大型炉、福島第一以外で初 


 関西電力は22日、2019年に運転期限の40年を迎える大飯原発1、2号機(福井県おおい町、出力各117・5万キロワット)の廃炉を臨時取締役会で正式に決めた。国内で出力100万キロワットを超える大型炉の廃炉は東日本大震災で事故を起こした、東京電力福島第一原発1〜4号機と同じ敷地にある6号機(110万キロワット)を除けば初めて。

 関電の岩根茂樹社長は決定を受けて福井県庁を訪れ、西川一誠知事に対して「安全の確保を最優先に考えた結果、大飯1、2号機を廃炉とすることにした。廃止措置段階においても、地元の経済や雇用に大きな影響が生じないようにしていく」と説明。西川知事は「更地になるまで責任を持って安全対策や地域振興に取り組んでいただいて、廃止措置を着実に進めていただきたい」と求めた。

 関電は今回、原子力規制委員会の審査をクリアして運転を最長20年延ばしても安全対策費がふくらみ、採算が合わないと判断した。

 2基の炉は特殊な構造をしており、安全対策が技術面でも難しいとされる。安全対策費は1基2千億円ほどにふくらむ見通しだった。関電はすでに大飯1、2号機などを除く計7基の再稼働に計8300億円の安全対策費を投じる予定で、これ以上の負担は避けたかったとみられる。

 震災後に廃炉となった原発は、東電福島第一の6基を除き、これで計8基。国内の原発は40基に減る。関電の廃炉は美浜1、2号機(福井県美浜町)に次ぎ計4基となり、原発の発電能力の3分の1がなくなる。

 政府は、発電量に占める原発の割合を30年度に20〜22%にする目標を掲げるが、16年度実績は約1・7%。今回の廃炉の影響は小さくない。これまでは小型の原発ばかりだったが、「発電コストが安い」としてきた大型でも採算が合わないとなれば、さらに原発が減る可能性がある。