自民の減り幅焦点=首相指名で波乱も【17衆院選】
    
           時事ドットコム 2017年10月8日

 10日公示−22日投開票の衆院選は、戦後最少の定数465(選挙区289、比例176)で争われる。安倍晋三首相は勝敗ラインを自民、公明両党で過半数の233議席と「相当低め」(党関係者)に設定しているが、減少幅によっては政権維持に影響する可能性がある。衆院選後の政権運営に与える影響を自民党の議席数で探ってみた。

◆30減なら政権維持

 衆院解散時の勢力は自民党287、公明党35で与党の合計は322。公明党が現状維持と仮定すると、自民党は90議席近く減らしても過半数を維持できる計算だ。首相は8日の日本記者クラブ主催の党首討論会で「私が自民党総裁として(与党で)過半数を取れば、当然首相指名を受ける候補として出る」と述べたが、首相が続投できると見る向きは少ない。退陣が現実味を帯びる。

 ひとつの目安となるのが安定多数の244と絶対安定多数の261を獲得できるかどうかだ。安定多数は国会の17常任委員会の委員長ポストを独占した上で、委員の半数を確保。絶対安定多数を得ると、常任委員長ポストを占めた上で委員数でも野党を上回り、一般に与党は盤石の国会運営が可能となる。

 自民党内の相場観は「30減以内なら続投」だ。26減だと自民単独でも絶対安定多数をクリアし、安倍首相は来年秋の総裁選での3選へ道が開ける。
 このケースだと公明党と合わせ300議席近くに達する。憲法改正の発議には、定数の3分の2の310議席が必要だ。日本維新の会などの改憲勢力と連携すれば、悲願の改憲へアクセルを踏み直すことができる。

◆50減で倒閣運動

 ただ、減り幅が50なら単独過半数ぎりぎりとなり、首相の責任論が噴出するのは必至だ。続投しても「安倍1強」は崩れ、総裁3選は難しくなりそうだ。
 一方、希望の党を率いる小池百合子代表は、衆院選の結果次第で、自民党を含めて他党との連立を目指す考えを示唆している。首相と距離のある自民党の石破茂元幹事長や公明党が選挙区に立てた9候補への対抗馬を擁立していないのは露骨なサインとも言える。

 石破氏率いる石破派は本人を含めて20人。自民党が250議席程度にとどまった場合、党内からは「石破派が希望の誘いに乗れば、過半数割れとなり、首相指名選挙で大波乱が起きる」との声もある。希望が躍進し、公明党も同一行動を取ることが条件だが、可能性としては否定できない。(2017/10/08-16:50)
 

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