「自衛隊」明記に隔たり 改憲志向の4党
    
          毎日新聞 2017年10月14日


 
毎日新聞は衆院選に立候補した1180人を対象に、政策課題に関する考え方を聞くアンケートを実施した。憲法改正への賛否では自民、公明、希望、日本維新の会の4党の改憲志向が明確になった。だが安倍晋三首相(自民党総裁)が目指す9条への「自衛隊」明記案には、4党の賛成の割合に大きな隔たりがあった。衆院選後に改憲論議が加速する可能性が高まる一方、改憲勢力の間でも9条を巡る集約は難航しそうだ。

 改憲に「賛成」と答えたのは自民、維新の各98%、希望が86%で、公明も82%に上り、改憲勢力の立場が鮮明だ。共産党は全候補が「反対」で、立憲民主党は反対が66%、社民党は全員反対だった。

 首相は憲法9条1項、2項は維持し、自衛隊の存在を明記する改憲を提案。改正憲法の2020年施行に意欲を示している。

 9条改正に関し、自民は75%が自衛隊明記に賛成。12年の党改憲草案は「国防軍」の保持を明記していたが、この案を推したのは14%と少数派で、首相の意向に従う候補が多い。

 公明は自衛隊明記が25%にとどまり、「改正反対」が31%と上回った。公約でも「多くの国民は自衛隊を違憲の存在とは考えていない」とけん制。ただ「その他」の答えと無回答が計44%と多く、自民との距離感に悩む様子もうかがえる。

 一方、希望は55%が自衛隊明記を支持し、自民に次ぐ高率だが、改正反対も27%と党内のばらつきが大きい。公示前後に小池百合子代表(東京都知事)の9条を巡る発言が揺れたうえ、「安倍改憲には反対」の立場だった民進党出身者の多さも影響しているようだ。維新は自衛隊明記は24%だったが、回答のトップは無回答の69%。選挙後の与野党協議に含みを残した。

 民進リベラル系を中心に結成した立憲は、94%が改正反対と回答。共産、社民と足並みをそろえ、政権に対抗する姿勢が明確だ。アンケートは首相が衆院解散を表明した9月25日以降に配布し、今月12日までに1147人から回答を得た。回収率は97.2%。【村尾哲】

 トピックスへ戻る