<川内原発一時停止要請>問われる知事の本気度
                           毎日新聞2016年8月26日

 川内原発の一時停止と再点検を公約通り九電に要請した三反園知事だが、九電がすぐに原発を停止する可能性は低い。現実的には10月に1号機、12月に2号機が定期検査のため停止した後の運転再開時に、知事がどう対応するのかが焦点となる。



 知事が問題視する避難計画は、原発事故時に5キロ圏は即時避難し、5〜30キロ圏は屋内退避する「段階的避難」を原則にしている。しかし、熊本地震のように余震が連続し、倒壊家屋が相次ぐ中、屋内退避を続けるのは非現実的だ。だからこそ知事は就任時に、川内原発の安全性や避難計画を県独自に検証する第三者委員会の設置も表明した。

 原発の施設や周辺の活断層を調査し、異常がないことを確認するよう求めた知事の要請に対し、九電側が「異常がなかった」と回答することは想像に難くない。ではその時、知事はどのように対応するつもりなのか。この日、それについての知事の明確な答えはなく、第三者委の設置についても「もう少し時間がかかる」と述べるにとどめた。

 定期検査後の運転再開に知事がストップをかける法的権限はない。だからといって、避難計画の実効性も検証せず運転再開をすんなり認めるようなことがあれば、九電への要請がポーズだったと批判されても仕方ない。問われているのは知事の「本気度」だ。【杣谷健太】