関西電力高浜原発3、4号機(福井県)の運転を差し止めた大津地裁の仮処分決定について、同地裁(山本善彦裁判長)は12日、関電が取り消しを求めて申し立てた保全異議を退けた。決定の効力は維持され、関電は2基を動かせない状態が続く。関電は大阪高裁へ保全抗告する方針。

 同じ山本裁判長による3月の決定は、関電が安全性の説明を尽くしておらず、東京電力福島第一原発事故を踏まえた新規制基準の合理性や地震・津波対策、避難計画に疑問が残ると指摘。滋賀県民29人の訴えを認め、稼働中の原発を停止させる初の判断をした。

 異議審決定は、新規制基準について「福島事故の原因究明が道半ばの状況で、判明している限りの事実から具体的危険を網羅的に検討したもの」で、改めて不十分と指摘。「原発の設計や規制がどう強化され、どう応えたか、説明を尽くすこと」を関電側に求めた。

 また、関電側が周辺の活断層が連動しても安全の余裕があると主張している点も「『余裕』に当たらない」と否定した。

 関電広報室は決定を受け、「到底承服できない」と保全抗告する方針を明らかにした。当面動かせないため、8月に2基から核燃料を取り出すという。

 (仲大道、青田貴光)