●高浜原発、差し止め維持 大津地裁、関電の異議退ける 朝日新聞2016年7月13日 ●東京新聞社説:原発と新知事 日本中が見守っている 東京新聞2016年7月13日 |
関西電力高浜原発3、4号機(福井県)の運転を差し止めた大津地裁の仮処分決定について、同地裁(山本善彦裁判長)は12日、関電が取り消しを求めて申し立てた保全異議を退けた。決定の効力は維持され、関電は2基を動かせない状態が続く。関電は大阪高裁へ保全抗告する方針。 同じ山本裁判長による3月の決定は、関電が安全性の説明を尽くしておらず、東京電力福島第一原発事故を踏まえた新規制基準の合理性や地震・津波対策、避難計画に疑問が残ると指摘。滋賀県民29人の訴えを認め、稼働中の原発を停止させる初の判断をした。 異議審決定は、新規制基準について「福島事故の原因究明が道半ばの状況で、判明している限りの事実から具体的危険を網羅的に検討したもの」で、改めて不十分と指摘。「原発の設計や規制がどう強化され、どう応えたか、説明を尽くすこと」を関電側に求めた。 また、関電側が周辺の活断層が連動しても安全の余裕があると主張している点も「『余裕』に当たらない」と否定した。 関電広報室は決定を受け、「到底承服できない」と保全抗告する方針を明らかにした。当面動かせないため、8月に2基から核燃料を取り出すという。 (仲大道、青田貴光) |
「安全性が確保されていない原発は動かせない」。初当選した三反園氏の主張は明快だ。 告示前、反原発団体との間で候補者を一本化する際に交わした政策合意にも「熊本地震の影響を考慮し、川内原発を停止し、再調査、再検証を行うことを九州電力に強く申し入れる」などとある。 現職の伊藤祐一郎氏は福島原発事故のあと、全国に先駆けて、川内原発1、2号機の再稼働に同意した。国内で稼働中の原発は、今のところこの二基だけだ。 告示前の記者会見でも「1、2号機は、あと三十年動かし、その後は別のエネルギー体系に」と、すでに運転開始後三十年を過ぎた両機の“六十年運転”の必要性を示唆していた。 同日投開票の参院選鹿児島選挙区では現職が三選された。地元紙の調査では、「原発」への関心度は「医療・福祉」などに次いで第三位。しかし、県民は知事の四選は認めずに、脱原発を掲げた「県政刷新」に軍配を上げた。 四月十四日の熊本地震。震度7の猛烈な揺れ、うち続く強い余震にもかかわらず、九電は川内原発を動かし続け、有事の際の指令所になる免震施設の建設予定も取り下げた。 九電と、それらを看過し続けた伊藤氏に“被害地元”としての不信と不安を募らせた結果だろう。 三反園氏は「ドイツを参考に、鹿児島を自然エネルギー県に変身させ、雇用を生み出す」と語っている。脱原発による雇用喪失の不安を抱える立地地域とよく話し合い、情報を広く共有しながら、具体化を進めてもらいたい。 日本で唯一原発が稼働中の鹿児島県を、日本で初めて脱原発へとスムーズに移行したモデル県にしてほしい。 三反園氏の言うとおり、知事に稼働中の原発を止める法的な力はない。しかし、停止した原発を再稼働させるには、地元首長の同意を取り付けるのが慣例だ。 川内1号機はことし十月、2号機は十二月、それぞれ定期検査に入って停止する。 検査が終わって再稼働という段階で、新知事はどのような判断を下すのか。他の原発立地地域のみならず日本中が見守っている。 |