同一労働同一賃金 非正規も賞与や昇給明記 政府が指針案
    
       毎日新聞 2016年12月21日 

 政府は20日の働き方改革実現会議で、非正規労働者の処遇改善を目指した「同一労働同一賃金ガイドライン(指針)」案を示した。非正規にも賞与や昇給を認めるよう明記。基本給については成果などに応じた賃金差を容認した。基本給と手当、福利厚生の3分野に分け、契約やパート、派遣で働く非正規労働者に対する処遇について具体的な基準を示した。政府は来年の通常国会に関連法改正案提出を目指す。指針は改正法施行後に効力を持つ。

 非正規労働者の基本給は正社員の6割弱の水準だが、賞与や昇給の差も大きい。厚生労働省の調査では、正規・非正規両方を雇う企業のうち非正規に賞与を支給しているのは4割弱にとどまり、金額も4万円程度と極めて低い。また、正社員の多くが勤続年数に応じて給与が高くなるのに対し、非正規は横ばいで推移するケースが大半だ。

 指針案は、賞与について、会社の業績への貢献度が同じなら正規・非正規にかかわらず同一の支給をすべきだと明記。昇給についても、職業能力の向上に応じて非正規にも実施するよう求めた。

 基本給については支給基準を、職業経験・能力▽業績・成果▽勤続年数−−に分け、各観点から同一となるよう求めている。例えば、職業能力や勤続年数などが同じなら正規も非正規も同一賃金としなければならないが、違いがあればそれに応じた賃金差は認めた。ただ、経済界が主張している「将来の(会社に貢献するとの)役割期待が異なる」との説明だけでは待遇差は認められないとした。

 一方、企業コストが大幅に増える退職金や住宅手当の扱いには触れなかった。【阿部亮介】

同一労働同一賃金ガイドライン案のポイント◇

・基本給は「職業経験・能力」「業績・成果」「勤続年数」の各観点が同じなら同一に。違いに応じた差は容認

・賞与は非正規にも支給。業績などへの貢献に違いがあればそれに応じて支給

・正規と内容などが同じ役職なら役職手当は同一に

・時間外労働手当や深夜・休日手当は同じ割増率に。通勤手当・出張旅費は同一支給

・食堂や休憩室などの福利厚生施設は非正規にも利用を認める

・派遣先社員と職務内容・配置の変更範囲が同じ派遣社員に対し、派遣会社は同じ賃金や福利厚生、教育訓練を実施