川内原発1号機、再稼働に向け原子炉へ核燃料搬入開始                 朝日新聞 2015年07月07日

 九州電力は7日、川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)の原子炉への核燃料の搬入を始めた。10日までの4日間で核燃料157体を運び込む。8月中旬を目指す再稼働に向けた手続きは最終盤となり、「原発ゼロ」が続いた電力供給は大きな節目にさしかかっている。

 川内1号機が再稼働すれば、東京電力福島第一原発の事故を受け、2013年7月に施行された新規制基準下で全国初となる。震災後に関西電力の大飯原発3、4号機(福井県おおい町)が一時再稼働したが、13年9月に定期検査で停止しており、その後は「原発ゼロ」が続いてきた。

 川内1号機での核燃料の搬入は、7日午後1時39分に開始。原子炉建屋に隣接する建屋内の燃料プールから、1体ずつクレーンなどで原子炉へ運び入れる。作業は24時間態勢で、放射線を遮るため水中で行う。

 川内1号機では、原子力規制委員会が再稼働前の設備検査を行っており、核燃料の搬入後も約1カ月にわたり検査は続けられる。順調にいけば、九電は8月中旬に原子炉を起動し、再稼働させる。規制委の最終検査を経て、9月中旬に営業運転を始める計画だ。ただ、川内1号機は11年5月に定期検査に入ってから4年以上停止しており、想定外のトラブルなどで予定通りに進まない可能性がある。

 九電は1号機に続き、2号機も10月中旬の再稼働を目指して準備を進める。

 九電は新規制基準に対応するための耐震工事をしたほか、再稼働前に重大事故を想定した訓練を行うなどとしている。ただ、火山活動が活発化している九州では、巨大噴火による重大事故への懸念は根強い。原発周辺の住民の避難計画が不十分との指摘もある。

 川内に続き、四国電力の伊方原発3号機(愛媛県伊方町)や関電の高浜原発3、4号機(福井県高浜町)などで再稼働の準備が進む。

 大手電力のなかでも、九電と関電は原発への依存度が高かったため、原発の停止が経営を直撃している。原発の代わりに動かしている火力発電の燃料費がかさみ、最終赤字が続いている。早く再稼働することで、財務体質の改善につながるとの期待がある。

 しかし高浜3、4号機は福井地裁が再稼働を禁じる仮処分を出すなど、原発への視線はなお厳しい。川内をきっかけに再稼働が次々に続くかはまだ見通せない。(長崎潤一郎、東山正宜)