みなさん、こんにちは。マモさんことエネルギー担当関口です。

6月末から7月中旬まで、2回に分けて計12日、福島県飯舘村に行ってきました。放射能汚染の調査や住民の方のインタビューのためです。

飯舘村を含む福島県の避難区域には、2017年3月に避難指示の解除をする方針が国によって決められています。2011年の東京電力福島第一原発事故によって高い放射能汚染にさらされた飯舘村。

本当に帰って大丈夫なの? それをこの目で確かめたくて行ってきたのです。

●正直初めて知りました。"除染"の現実。

写真:マモ、放射線調査中

私、恥ずかしながら飯舘村に行くまではどうやって「除染」してるのかよく知りませんでした。(写真などで「除染手順」のようなものを見はしましたが)

なんかイメージでは「除染」されると極端な話、何かの魔法みたいにビャーっとやって、放射線量がグーンと下がっちゃうような・・・

(当たり前ですが)現実は、いろんな意味で全然違ってました。

●剥がされたむき出しの地面

写真:剥がされた大地

除染したばかりの家は簡単に見分けることができます。家の周囲は草もなく、痛々しく土が剥ぎ取られているか、明らかに外から持ってきた石や土が敷き詰められているからです。

地方に行くと、花を育てたり草を刈ったりして自然を大切にしながら家の周りの手入れをされている光景をよく目にします。削り取られた土地に囲まれた家を目にする度、ここもそのように大切に保たれていた土地なのではと想像すると胸が痛みます。

●わが家に入るのに放射線防護

写真:ご両親、ご祖父母を紹介してくださった安斉さん

飯舘村で、2011年から放射線測定にご協力いただいている安斉さん。家に近づくと安斉さんは靴の上に被せる防護用のオーバーシューズを着けられました。今は、雨水がしたたり落ちる軒下や、家の中の方が線量が高いということなのです。避難して年月が経った家は掃除も行き届かず、外から埃などが入り込み、あるいは生き物が侵入したりして線量は下がらないそうです。

安斉さん曰く、「この家の裏山は、松茸がたくさん採れたんです。朝には鳥の声に起こされて、目覚ましなんかいらないの。」と避難前の日々の豊かさを話してくれました。

海外からの同僚の「まるでパラダイスですね。」という言葉に深く頷く姿がとても印象的でした。本来は最も安心できるはずの家に入るのに防護用品を着けなければならないことの辛さは、察するに余るものがあります。胸の痛む現実。環境省の方針では、家の中は除染されないことになっているのです。

●山は生活空間から20mだけ

写真:林縁から20mの除染の様子

環境省が発表している除染情報を見ると、「飯舘村山林除染44%実施」とあります。「へー。飯舘村は75%が山林って聞いたけど、その内の半分近く除染が終わってるんだ」て思ってたんですが、実際に行って見てみたら…

山林で除染が予定されているのは、家や道路など生活空間に面している端から20mだけなんだそうです。それより奥の広大な森には、除染の予定はありません。現地で話を聞いた環境省の方いわく「今効果的な除染方法を研究中」とのこと。

測定に協力してくださった別のお宅では、除染済みの印とも言える新しい砂土で覆われた家の軒下、壁から1mも無いような地点で、年換算にして20ミリシーベルトを超えるような数値が検出されました。

●迫る再汚染の危険…

写真:瓦屋根を背に裏に広がる山を調べる

このお家のすぐ裏にはやはり森が広がっています。屋根の周りと雨どいだけで終わったこの家の屋根の除染。放射性物質は山から来て、瓦に積もり、雨で流されて軒下の新しい砂土の上に注ぐ…というサイクルが目に見えるようでした。

家のご主人は、「山の上から除染始めてくれ、でねえといくら家の周りばっかやったってダメなんだ。そう言ったんだけど…」と話してくださいました。かつては4世代が手に手をとって暮らしていた。それも避難後何年も経ったいまでは、避難解除しても、もう全員が前のように戻ってくることはない。それでも、代々ここに暮らし眠っている先祖を家に祀っているから床板を張り替えて週二回通ってきているそうです。土地に生きる人が土地から離されて生きざるを得ない現実がここにもありました。

写真:民家の軒先に食べられることのないグミの実

とある民家の軒先に、美味しそうに色づいたグミの実を見つけました。もしかしたら、この周りを子どもたちが楽しげに走り回り、グミを頬張る光景が少し前まで見られたのかもしれない・・・ 

そう思うと、あらためて人々に被曝や避難生活を強いるような原発事故は、二度と起こってはいけない、そして起こさないためには、再稼働はやはり止めなければいけない。そう思わされました。

あなたも、一緒に再稼動反対の声をあげてください。

今回の福島県飯舘村での放射線調査の結果を踏まえて、安倍首相はじめ政府に対し要請書を提出しました。その内容はこちらから