安保法制、7分野焦点に 自衛隊派遣要件など政府提示へ
       朝日新聞 201503月07日00時05分


 政府は6日、安全保障法制をめぐり、自衛隊を海外に派遣する恒久法(一般法)制定など七つの分野で、派遣要件や歯止め策などを一括して取りまとめる方針を固めた。自衛隊派遣に慎重な公明党が国際法上の正当性など3原則を求めていることから、公明党の要望を見定めて政府としての考え方を示す。自民、公明両党による安保法制の与党協議は政府の一括回答を受けて、3月中の基本合意をめざす方向だ。

 自民、公明両党は6日の与党協議で、集団的自衛権の行使容認をテーマに議論した。政府はこの場で、現行の武力攻撃事態法や自衛隊法などを改正し、日本が直接攻撃を受けていなくても集団的自衛権が行使できる新たな事態を盛り込む案を示した。2月中旬に始まった与党協議はこの日で4回目となり、昨年7月の閣議決定をもとに政府が想定する安全保障関連法案の大枠がほぼ固まった。

 一方、公明党はこれまでの政府提案では自衛隊派遣の歯止め策が十分ではないと訴えている。具体的には@国際法上の正当性A国民の理解と民主的な統制B自衛隊員の安全確保という3原則を示し、主立った分野で具体的な対策や手続きを取るよう求めていた。

 これを受けて、政府は公明党からの要望が集まっている7分野で回答する方針を固めた。具体的には、自衛隊が艦船などの装備や武器を防護する対象を米軍以外にどこまで広げるか、周辺事態法を抜本改正する基本的な枠組み、戦争中の他国軍への後方支援を常時できるようにする恒久法の要件などを取り上げる。

 政府は各分野で、なぜ自衛隊を派遣するのかという理念や原則を示す「目的規定」のほか、自衛隊の「安全配慮」のあり方、民主的統制を得るための「国会承認規定」などを示していく。自民、公明両党は今月20日をメドに安保関連法案の基本方針を取りまとめる方向だ。

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■政府が回答する安保法制の7分野

@米軍以外の武器等防護

A周辺事態法の抜本改正

B自衛隊派遣の恒久法(一般法)

C国際平和協力活動(PKO協力法改正など)

D在外邦人救出

E船舶検査法改正

F集団的自衛権の法制化


閣議決定と新3要件(2014年07月06日 朝刊)

 政府は閣議決定で、集団的自衛権を使うことを「憲法第9条の下で許容される自衛の措置」と位置づけた。前提となる「武力行使の新3要件」に、
まず
「我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生」と他国での戦争参加を明記。
さらに憲法前文の「国民の平和的生存権」や13条の「生命、自由及び幸福追求権」に触れ、
「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」に、
「必要最小限度」の武力行使ができるとした。