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安倍内閣は昨年7月、憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を認めるとともに、他国軍への後方支援を拡大する閣議決定をした。憲法9条の下では、従来個別的自衛権の行使しか認められてこなかった。今回の正式合意で、自公が憲法解釈変更に基づく法律の枠組みを容認したことになる。 与党は2月中旬から安保法制のあり方を協議。座長の高村正彦・自民党副総裁と座長代理の北側一雄・公明党副代表がまとめた基本方針の共同文書を20日、正式に決めた。 現在、自衛隊が武力行使できるのは、日本が直接攻撃を受けた場合のみ。海外での活動は、朝鮮半島など日本周辺の有事の際、周辺事態法に基づき、補給や人員輸送など米軍への後方支援をすることや、PKOに限られる。PKOには「参加5原則」があり、武器使用は自己防衛のためだけに認められる。それ以外の国際貢献活動では、その都度、時限的な特別措置法を作ってきた。 新たな法制では、他国への攻撃でも、日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される「明白な危険」があると政権が判断すれば、集団的自衛権による武力行使ができる。周辺事態法も改正し、日本周辺に限らず、遠く離れた場所へも派遣が可能になる。 また、自衛隊が戦争中の他国軍にいつでも後方支援できるように恒久法(一般法)を制定する。物資補給や人員輸送のほか弾薬の提供も可能になる。支援対象も米軍だけでなくオーストラリア軍などにも広げ、戦闘参加者の捜索や救助も可能とする。 PKO協力法の改正では、米国中心の有志連合など国連が主導しない人道復興支援や治安維持活動にも参加可能にする。武器使用基準を緩め、任務遂行のための武器使用も認めるようにする。 政府は今後法案の要綱や条文を作成し、自公はこれをもとに4月中旬以降に与党協議を再開。政府は5月中旬にも関連法案を国会に提出する。(小野甲太郎) |