●「基地集中は人権侵害」 日欧米識者17人がオバマ大統領に書簡 |
スティーブ・ラブソン米ブラウン大名誉教授、アレクシス・ダデン米コネティカット大教授、中野晃一上智大教授(政治学)ら欧米と日本の識者、文化人ら17人は2日、オバマ米大統領宛てに米軍普天間飛行場の辺野古移設中止を求める連名の書簡を送った。 書簡は日本が沖縄を併合した琉球処分や米国の沖縄統治などの歴史に触れた上で、県知事や名護市長が辺野古移設計画に反対していると指摘。戦後70年にわたって続く沖縄の基地集中は「不適切な負担であり人権侵害だ」と強調した。 さらに書簡は「米政府は長い間、沖縄県外に普天間を移設する提案を拒否し、辺野古の基地建設を進めるよう日本に圧力をかけてきた」と批判した。 代表して書簡を送ったラブソン氏は取材に対し「米国は『移設は日本の国内問題』と説明してきたが、実際はオバマ政権下でも県外移設を模索した鳩山内閣に圧力をかけた」と述べ、米政府の責任を問う意味でも書簡を送ったと説明した。 書簡では辺野古での移設に向けた作業強行により、抗議する市民と警備当局との衝突でけが人が出ている状況にも触れ「米国が建設を強行すれば抗議は続き、予期しない犠牲が必ず発生する。この地域で緊張が高まっている中で米日関係に重大なダメージを与える」と警告した。 |
■海外識者の書簡要旨 米国などの識者や文化人がオバマ米大統領に送った書簡の要旨は次の通り。 ◇ ◇ 沖縄の人々は選挙、住民投票、世論調査、市民運動を通じて辺野古の海兵隊基地建設に反対の意思を示し続けてきた。日本の国土のわずか0・6%の沖縄に在日米軍専用施設の70%が集中している。この不適切な負担は人権侵害であり、とりわけ日米両政府による少数民族に対する長きにわたる差別が関係している。 日本は琉球王国を強制的に廃止した。日本の占領を終えるに当たり、米政府は日本の主権を回復させる代わりに、米軍による沖縄占領を続けた。沖縄の人々は日常的に基本的な法的、資産的、政治的権利を米軍統治によって否定された。 辺野古の航空基地は地元住民の安全、生活の質、環境を破壊する。燃料や煙は空気や水を汚染する。美しい大浦湾を埋め立てれば、無傷のサンゴ礁、国際的保護種であるジュゴンを含む生き物の餌でもある藻類を破壊する。 米上院軍事委員会のマケイン委員長やレビン前委員長を含む指導者たちが辺野古の基地建設に強く反対し、移設計画は「現実的でなく、うまくいくはずがなく、費用も掛かりすぎる」と指摘してきたのに、米政府は県外移設の提案を拒否し、辺野古の基地建設を進めるよう、日本政府に圧力をかけてきた。 県知事選では移設に反対する翁長雄志氏が勝利し、移設に反対する地元名護の稲嶺進市長も再選した。日米両政府によるこの結果の無視は民主主義の侵害だ。 10年以上にわたる反対運動は大きな緊迫に変わっている。警察との衝突でけが人も出ている。米国が建設を前に進めようとすれば抗議は続き、予想外の人的犠牲が出る。この地域で国際的な緊張が高まる中で、米日関係に重大なダメージを与えるだろう。移設計画の中止を真摯(しんし)に求める。 |
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