非正社員、初の4割 雇用側「賃金の節約」 厚労省調査
            朝日新聞 2015年11月5日 

厚生労働省が4日発表した2014年の「就業形態の多様化に関する総合実態調査」で、パートや派遣などの非正社員が労働者にしめる割合が初めて4割に達した。高齢世代が定年を迎えて正社員が減るなか、人件費を抑えたい企業が非正社員で労働力を補っている実態が浮き彫りになった。

 調査は1987年から複数年ごとに行っている。今回は昨年10月1日時点。官公営を含む従業員5人以上の事業所約1万7千カ所と、そこで働く労働者約5万3千人にたずねた。回答率は事業所が64・4%、労働者が65・2%だった。

 非正社員の割合は40・0%。民間のみの調査だった前回は38・7%。非正社員の約6割をパートが占め、次いで契約社員や定年後再雇用などの嘱託社員が多い。

 5歳刻みの集計では30〜54歳で非正社員の比率が前回を上回った。90年代後半からの不況で多くの若者が就職難になった「ロストジェネレーション」の世代などが今も非正社員のままでいる実態を示している。15〜29歳は、いずれも非正社員の比率が前回調査を下回った。非正社員を雇う理由として一番多かったのが「賃金の節約」で38・8%だった。「高年齢者の再雇用対策」(26・6%)、「正社員を確保できない」(26・1%)などの回答も目立った。厚労省の担当者は「高齢者の再雇用などが増えたほか、人手不足に非正社員で対応しているケースが多いのでは」とみる。

 また、労働者が非正社員を選んだ理由は、育児や介護などとの両立をあげた合計が33・4%と前回から8・9ポイント上がり、育児などと正社員としての仕事の両立が難しい実態も示された。(北川慧一)