通常国会1月4日召集案 政府与党、前倒しを検討
                東京新聞 2015年10月25日 

 政府・与党は来年の通常国会の召集を例年の一月後半から前倒しし、初旬とする方向で検討に入った。複数の政権幹部が二十四日明らかにした。野党が求める秋の臨時国会開会を安倍晋三首相の外交日程が立て込んでいることを理由に応じない構え。一月四日を召集日とする案が浮上しており、首相が最終判断する見通しだ。野党は「臨時国会を開かなければ安倍首相による二カ月の政治空白だ。許し難い」(民主党の岡田克也代表)などと一斉に批判した。

 通常国会では首相が編成に意欲を示す二〇一五年度補正予算や、一六年度予算の早期成立を図り、来年夏の参院選に向けて経済重視の姿勢を示す必要性が指摘されている。〇九年には当時の麻生政権が景気対策の一環で補正予算と本予算の早期成立を目指して一月五日に召集した例がある。

 一方、安倍政権では通常国会での処理が想定されたTPPの国会承認案については先送り論が出ている。承認案提出は各国の協定署名がそろうことが前提だが、米大統領署名の見通しが立っておらず提出を急ぐ必要はないとの見方があるためだ。

 召集日は「十八歳選挙権」の実施が見込まれる参院選日程とも連動する。選挙権年齢を「二十歳以上」から「十八歳以上」に引き下げた改正公選法は来年六月十九日に施行される。

 通常国会の会期は百五十日間。会期延長をせず投票日を通例の日曜と仮定すると、一月四日召集の場合は六月十九日より前に参院選を公示し、十八歳選挙権を実施しないことも可能となる。一方、改選参院議員の任期ぎりぎりの七月二十四日までの投開票日程も設定できる。

 召集日が一月五〜十二日であれば公選法の規定で公示が六月九日か十六日、投開票が六月二十六日か七月三日となり、「十八歳選挙権」は実施されない。召集が一月十三日以降であれば公示が施行後になり、参院選で十八歳から投票が可能になる。

 <通常国会> 憲法と国会法に基づき、毎年1回、1月中に召集される。会期は150日間で、延長は1回だけ可能。例年、1月下旬に始まる。予算案や予算関連法案を審議するのが主な目的。冒頭には、首相と外相、財務相、経済財政担当相の4人が予算審議に先立ち、衆参両院本会議で国政の基本方針を示す政府4演説を行う。国会はほかに、例年秋に開かれる臨時国会や、衆院解散に伴う総選挙後の特別国会がある。